延床面積 / 敷地面積 : 71.60 ㎡ / 104.62 ㎡
階数 : 地上 2 階
計画地 : 埼玉県朝霞市
用途 : 個人住宅
計画期間 : 2018年4月~2020年4月
撮影 : 高栄智史

total floor area / site area: 71.60 ㎡ (771 sf) / 104.62 ㎡ (1,126 sf)
location: Asaka-city, Saitama JAPAN
building type: private residence
project commencement: Apr. 2018
project completion: Apr. 2020
photo: satoshi takae


埼玉県に建つ住宅である。クライアントは独身の若い男性で、将来の家族構成が変わる可能性があったため、拡張が可能で、また使い方が固定されずに変化に対応していけるような大らかな住宅が求められていた。何か楽しい住宅をと期待されていた一方で、クライアントには趣味というほどの趣味はなく、料理もあまりしない。また友人を多く呼ぶわけでもなく、持ち物は少ない。このように特別な要望が少なくつつましい生活を望まれたことで、戸建住宅に住むということや生きるということを豊かにするための根幹というか、最低限に大切なものは何かということを考える計画となった。
敷地は南に面した段状の住宅地にある。道路から一段上がっていることで独立した印象と開放感が同時に広がり、また斜面上側の北側には擁壁が控えて落ち着いた雰囲気があった。また西側には道路からのアプローチの無い更地がひらけていて、大きな“庭”を持っているような環境でもあった。そんなそれぞれの場所と方向によって少しづつ異なった個性と魅力を持った外部の環境を、まずは計画の手がかりとしてうまく取り込めたらと考えた。
そこで僕たちは隣家からのプライバシーを考慮して開口を制限したボリュームを東側に置き、その西側には“庭”を向いて高さをとった明るいガラスのボリュームを、また擁壁に向かい合う北側には半屋外空間を作る屋根を配置して、構成や雰囲気、また外部環境との対応関係も異なる三つの棟が集まったような建物を提案した。閉じられた2層のボリュームは将来の間取り変更にも対応できるようにワンルームとし、そこにはリビング・ダイニングやベッドルームが入る。また透明なボリュームは通り庭のように玄関からつながった一室空間であり、そこには家具のようにキッチンとバスタブが置かれている。一方で敷地の奥となる北側の屋根下空間は裏庭のテラスとして使われるが、後の室内化が可能な作りとなっている。
ここでは普段の生活の中で毎日行われる、何でもない活動の価値を見直したいと考えていた。そしてそういう生活の断片を周辺環境との関係とともに少しだけ豊かなものとして成り立たせ、この小さな家で展開される生活の骨格とする。こうして出来あがったこの家では、例えば毎日空に開いたベッドルームで目覚めて、あかるく広いキッチンで緑を見ながら料理をする。雨の日でも温室のようなスペースで気持ちよく洗濯物を干し、夜には星の見える開放的なお風呂に入る。また時には軒先から光の落ちる裏庭が仕事場や書斎となる。そんな、日常の出来事を中心とした住宅の作り方が、この場所でいつまでも続いていく普通の生活の楽しさというものにつながっていけばと思っている。




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