延床面積 / 敷地面積 : 62.64 ㎡ / 60.00 ㎡
階数 : 地上 2 階
計画地 : 東京都杉並区
用途 : 個人住宅
計画期間 : 2020年12月~2022年7月
撮影 : 高栄智史
メディア :
住宅特集 2022年9月号
新建築オンライン
total floor area / site area: 62.64 ㎡ (674 sf) / 60.00 ㎡ (646 sf)
location: Suginami-ku, Tokyo JAPAN
building type: private residence
project commencement: Dec. 2020
project completion: Jul. 2022
photo: satoshi takae
Publication:
Jutakutokushu 2022:09
Shinkenchiku Online
アイデアと建築の間で
住宅に膜材料を使うというと、その強い特殊性ゆえにどこか建物が不自然なものになっていくような気が途中でしていた。そんなことを心配しながら、あぁでもないこぅでもないと行きつ戻りつあれこれ試しているうちに、膜というものが光を遮蔽も透過もするし、ピンと引っ張れば緊張感が生まれるけれど垂らせば柔らかい雰囲気になるとか、また滑らかに抽象的にみえる一方で表面の細かな肌理はずいぶん具象的であったりと、かなり両義性を持った材料であることが気になり始めた。
うまく調整すれば、膜が自己の強い特徴を自らでキャンセルをする。その結果として、特異なマテリアルであっても建物を構成するパーツとして十分自然な要素になっていくような期待を感じたのだ。こうして膜自体で、またはそれ以外の要素との関係として、いろんなパラメータを慎重に上げたり下げたりしながら膜の持つその両義性みたいなものをバランスよく掬い上げようとスタディを進めていった。膜というアイデアが強く出てしまうのか、逆に弱くなり過ぎてしまうのか。その微妙な境目に向かっていく。そしてその臨界点に到達した時、突然「〈膜〉を使った家」が「膜を使った〈家〉」になった。