若いサービスマンとシェフが始めた、小さなレストランの計画

洞窟のようなスペースのRC躯体へ直接淡い塗装を施し、その上に色を合わせた薄いレースのカーテンを掛けた。とても繊細な色の重なりは、光の加減によって白く見えたり華やかな彩りを湛えたりと時間や天候によって室内の印象を変え、またラフな全体の雰囲気に少しだけフォーマルな空気を与える。

穏やかにドレープがかかったカーテンの垂直性は空間の高さを強調し、また後ろの壁に残る古いサッシの存在感とテクスチャを覆い隠して、やわらかな光のみがホールに入るようになる。
入り口には大きなガラスが一枚。枠は室内側に隠されて外にはアーチ状に開いた洞窟の開口のみがぽっかりと残る。

既存のものと計画するものを出来るだけ等価に馴染ませる。古さや新しさ、荒々しさと上品さといった対になる要素を共存させることで、新しいお店であっても元からそこにあったように街へ溶け込んでいけるといいなと考えた。


撮影:高栄智史